地鉄沿線滞在中何とか持ってくれた天気。
半ば諦めていた地鉄の背景に聳える名峰の眺望が時折雨雲に苛まれながらも可能となる。
その中において牙のように峻険なピークが威容をなす剣岳。
寺田駅から望む剣は秋雨前線の雲を纏いながらも時折姿を現す。
剣は、真夏にも拘らず幾つもの沢筋に残雪を抱く。
雪解け水に端を発し平野に豊かさをもたらす常願寺川から見た剣岳はまるで生き物のように刻々と変化する雲を孕みながら
人跡を拒むかのように荒々しい自然を見せつける。
富山地鉄には、こうした黒部立山アルペンの峰々の自然の優しさと厳しさに立ち向かうがの如き山岳鉄道の力強さがある。
急勾配の鉄路に対応し、オールモーター車で馬力を示す形式附番だったりと。
平野部を横方向に通勤通学路線として、そして縦方向に観光路線としての二つの顔を兼ねる地鉄。
その地鉄からの夏から冬に向けて季節が移ろい往く秀峰剣の秋の表情を切り取ってみた。
2015年立秋 富山地鉄 寺田駅・常願寺川橋梁
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秋探しの旅 12 雲孕む剣
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