ここ数日高い気温が続き、雨さえ恋しい。
乾燥した空気にお湿りを齎す写真で今日も夜行列車。
或る梅雨の夜、夜行列車が最大密度約15分ヘッドで博多駅を発車していた頃
同駅始発の電車寝台「明星」を撮る。
淡い色使いのヘッドサイン。
袋文字の黄色が夜行、緑が昼行であったか。
雨に濡れたガラスの奥にぼんやり浮かぶ愛称。
特急銀座の当時の鹿児島本線にあって、581系は昼・夜に大活躍中であった。
奥に終着で乗客を降ろした昼仕様の有明が並ぶ。
やがて発車ベルが鳴り終わるとタイフォン一声、
博多の街の灯や構内照明に爛々と煌めく行路を滑るように駆け出して行く。
発車直後に車内放送で流れるチャイムの後に主な停車駅の到着時間や車内設備の案内、それに減灯、翌朝の放送開始時刻などが続く。
これから始まる汽車旅のワクワク感を優しく演出するジョイント音などの音と
ベネシャンブラインド越しに時折差し込む沿線の灯がより盛り上げてくれる。
そんなちょっとセンチでロマンチックな夜越しの汽車旅、もう少し長く楽しみたかった。
1978年6月 鹿児島本線 博多駅
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寝台特急明星 雨の出発
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